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渡り鳥の季節

 今年も近所の川に渡り鳥がやってきた。

 なんの種類かはわからないが、鴨の一種であることは間違いないだろう。二、三羽、多い時には五羽以上が一個連隊を組み、きれいとは言えない川の面を気持ちよさげに泳いでいる。

 しばらく眺めていると、一羽二羽と離脱しはじめ、思い思いに水中に潜り始めた。透明度がいくらもない水なので、一瞬で姿が見えなくなる。そして、しばらくして思わぬところからポコンと顔を出す。その繰り返しが面白く、寒いのも忘れてついつい橋の上に長居をしてしまう。すると、通りがかる人たちも、つられたように川面を見つめながら通り過ぎる。中には、水鳥観察の仲間入りをする御仁もいる。特に声を掛け合うわけではないが、頭の動きが同じになって、こっちも頭だけ連隊になっている。

 そんなこんなしているうちに、とうとう生まれて初めて、水取りが水底から上がってくるシーンをライブで見てしまった。嘴をまっすぐ上に伸ばし、スーッと勢いよく昇ってくる。口には小魚をくわえていた。この夏、生まれて群れをなしていた魚のうちの一匹だろう。あの小魚たちにも、それはそれで思い入れがあったので、かすかに胸が痛む思いもするが、それよりも都会の真ん中の汚い川にも、季節の営み、そして食物連鎖の輪が存在していることに心打たれ、しばし粛然とする。

 春になり、彼らが遠くの土地に帰る日まで、しばらく楽しみが続きそうだ。

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