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値上げの冬

 今冬、世界的な原油価格や穀物の高騰を受け、生活に身近な商品が次々と値上げに踏み切るという。タクシーの初乗り運賃、インスタントラーメン、マヨネーズ、ビール、菓子類など、普段何気なく手にしている商品が、いかに世界経済に、とりわけ原油価格の動向に繋がっているかを改めて実感することになった。

 しかし、それ以上に驚くのは、たいていの商品の値上げに、「二十年ぶり」や「三十年ぶり」といった言葉が並ぶことである。四半世紀前後、価格を変えていなかったというのだ。それができたのは「企業努力」のおかげだったという。

 この「企業努力」という言葉には、様々な努力が含まれよう。原材料の調達、製造工程のカイゼン、運送の効率化など、ありとあらゆる手段がとられている。その中には、当然「人件費の削減」も含まれ、それが大きなウェイトを占めているだろう。

 原油以上に、どんな商品にもついてまわるのが、人件費である。原価にこれが含まれない商品など、この世に存在しない。だから、ここを圧縮することで、価格を維持しようとする。その結果、四半世紀にわたりピクリとも動かない小売価格が実現したとともに、賃金を含めた労働環境の悪化を招いたのは間違いないだろう。それは国内だけではない。私たちが目にすることのない、遠い国での搾取をも生んでいるのだということは、自覚しなければならない。

 価格とは、その商品に費やされた人手に対する対価である。暴利を貪ることは許されないが、相応の利益を上げることは当然であるし、それが社会を活性化させる。なにより、その商品を手元まで届けてくれた人々に対する感謝の表れであることを、忘れてはならないのではないだろうか。

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