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罰当たりと恩知らず

 ギリシャ正教会の女子修道院の庭で大麻が栽培されているのがみつかり、庭師として働いていた男二人が逮捕されたという。身元不明のこの男たちは、修道女に対しては庭造りの手伝いをする、と嘘をついて中に入り込んだらしい。神の庭で、神に仕える女性たちをだますとは、実に不貞不貞しい。罰当たりも甚だしいとしか言いようがない。世間知らずの修道女たちは、それがご禁制の麻薬とは知らず、なにかの観葉植物だと思っていたという。もちろん、彼女たちはなんの罪にも問われなかった。

 一方、日本では、関東学院大学ラクビー部部員が大麻を吸引していたとして逮捕されたが、取り調べが進む中、他に十二名にも及ぶ部員が同罪だったことが判明した。これを受け、春口廣監督が辞任を発表した。テレビで見る限り、ラガーマンらしい顔が、憔悴しきっているように見受けられた。教え子に裏切られた心痛だろうか。最初の事件を受け、他の部員一人一人に確認をとった時には、全員が関与を否定していたという。それにもかかわらず、新たな逮捕者が出る様相となった今、部員たちと心が通じていなかった現実を目の前に突きつけられた監督の心痛は、察するに余りある。

 思うに、どちらのケースも、大麻に手を染めたことより、他人の信頼を逆手に取り、騙したことの方が罪深い。人を信じるということは、それだけで尊い。そして、その信が反故にされた時、傷つくのは騙した方ではなく、騙された方なのだ。

 それでも、修道女たちは、まだ神に救いを求めることができるだろう。男たちに対する慈悲からの赦しそのものが、傷を癒す特効薬になるかもしれない。だが、監督の方は、今まで大学生スポーツの指導者として積み上げてきた実績に泥を塗られ、信じていた学生たちに恩を仇で返された今、何に救いを求めればよいのか。心中慮るに、どうにも気の毒でならないのである。

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