« 寒中の赤 | トップページ | 言い訳 »

カレーライス

 子供ならば誰でも大好きと思われているカレーライスであるが、私は嫌いだった。なぜならば、子供相手に辛さを調整するなどという細やかな芸当は幼稚園までと決めていたらしい母の作るカレーが、まさにインド人もビックリの辛さだったからである。一度など、湯気が顔に当たっただけで目が刺激されて涙が溢れるカレーというのを出されたことがあった。一体、家庭でなんの罰ゲームという話だ。

 お陰で、年齢の割には辛さが平気な子供に育ったわけだが、やはり美味しいとは思えないでいた。しかし、不幸なことに、一度辛いカレーに馴れると学校の給食のような甘口カレーも何とも物足りなく感じるのだ。結局、初めて美味しいと思ったカレーは、食べ盛り……食べ物であればバキュームポンプのように胃の腑に収めるようになった中学生の時分に、何かのキャンプで食べたものだった。しかし、これも空腹といつもと違うシチュエーションが最高のスパイスになっていたからだろう。

 やがて大人になり、一言でカレーといっても日本的欧風カレーと本場印度カレー、そしてタイカレーでは全く違うことを知ることになる。私の口に最も合うのが、タイカレーだ。特にグリーンカレーは大好きで、タイ料理屋に行くと毎回これにするかトムヤムクンにするかで大いに悩む。我が人生におけるベストカレーも、タイ旅行中にあるボランティア施設でごちそうになった野菜のみのグリーンカレーだった。あれを上回るものを日本で望むのはむりなのだろう。

 酸味のある辛くないカレーより、マイルドで辛さ充分なカレーが好きなのだが、逆の人間もおり、どうにも趣味が合わない時がある。困ったことである。

|

« 寒中の赤 | トップページ | 言い訳 »

月-味」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/278227/9446113

この記事へのトラックバック一覧です: カレーライス:

« 寒中の赤 | トップページ | 言い訳 »