言い訳

 今年度内に年金記録の名寄せが終了しないのが確実な情勢になったことで、自民党が参議院選挙の時に掲げた約束は嘘だったのかと問われ、福田首相が「公約といえるのかどうか」と発言した。このことで、一度収まりかけていた年金問題がまたクローズアップされ始めた。いずれにせよ、政府与党の本音としては一連の不祥事は社保庁の責任であり、自分たちが責められるのはトバッチリという思いがあるのだろう。もちろんそれを口に出せば、当然行政責任を問われるわけだから言うはずはないが、その気持ちがこういった失言の端々に現れているように思う。しかも、その発言に対しての公的な言い訳が「前政権が言葉足らずだった」であり、同じ与党の仲間に泥を被してまで責任を回避したいものかと、私などはむしろこちらに呆れたような次第だ。

 国・企業を問わず、最近の不祥事の謝罪会見では、どうにも責任回避の姿勢が目立って仕方ない。 船場吉兆など、それの良い例だった。圧倒的弱者であるパートに濡れ衣を被せるなど、人として恥ずかしくないのだろうか。そもそも、取締役とは企業の責任者である。その人間が責任を取らないで、誰が取るというのだろう。

 昔から蜥蜴のしっぽ切りは繰り返されてきたことで、別に今時の風潮であるとはいわない。だが、昔と違い、格段に情報が漏れやすい社会になっている上は、昭和の時代のような言い訳は通用しないと考えるべきだろう。特に企業においては、そのリスクは一段と高い。なぜなら、人件費を削減するために増やした臨時雇用者が、正社員と同じだけのロイヤルティを企業に持つわけなどないからだ。

 食品関係の会社は、旧態依然としたところが多い。役所も然り。そこで不祥事が頻発しているのもむべなるかなである。これをもって他山の石とできるかどうか、そこに責任者としての資質が問われるのではないだろうか。

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ネットでの情報発信

 吉野家とケンタッキーフライドチキン。誰もが知っているファーストフードチェーンで、立て続けに騒動が起きた。ここのところ、飲食・食品業界のニュースというと、表示や原材料の偽装と相場が決まっていたが、今回はそれとは関係ない。アルバイトが起こした事件である。

 吉野家は、アルバイトが「テラ牛丼」なるものを厨房で作った様子を携帯電話の動画撮影機能で撮り、それを動画閲覧サイトにアップロードしたことから始まった。その様子が、取り扱っている食品を無駄にし、なおかつ衛生的に問題がある状態だったため、映像をみた消費者から本社にクレームの電話やメールが殺到したらしい。

 一方、ケンタッキーフライドチキンは、アルバイトをしている高校生というのがSNSで「油でゴキブリを揚げた」と書いたのを切っ掛けに、まずは本人のSNSブログが炎上、それが2ちゃんねるに飛び火したようだ。

 これらの事件は、ネット社会だからこそ発生した事件といえる。だが、その背景には、行為の結果への想像力の欠如という、昔ながらの構造が存在している。例えば、冬山にスキーに行くのに、TシャツとGパンしか用意しない人間はいないだろう。それと同じで、ネット利用にも、それなりの準備と心構えが必要である。ところが、そんなこともわからずに、不用意な行為をした結果、行為以上の報いを受ける結果になってしまったわけだ。本人たちは、自分たちのしたこと、書いたことがこれほど反響を呼ぶなど、想像もしていなかったのだろう。とにかく、あまりにも幼稚である。

 結局、吉野家のアルバイトには何らかの処分が下され(内容は明らかにされていないが、解雇である可能性が高い)、ケンタッキーフライドチキンのアルバイトは社会を騒がせた責任を取るとして高校を自主退学したそうだ。後者の場合は、アルバイトは校則で禁止だった上、SNSに喫煙している写真をアップしていたそうで、必ずしも事件だけが影響しての退学でもなさそうだが、いずれにせよ高すぎる代償になったのは言うまでもない。

 さすがにここまで馬鹿な行為をすることはないが、情報発信への自覚という意味においては、もって他山の石とすべきなのかも知れない。

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値上げの冬

 今冬、世界的な原油価格や穀物の高騰を受け、生活に身近な商品が次々と値上げに踏み切るという。タクシーの初乗り運賃、インスタントラーメン、マヨネーズ、ビール、菓子類など、普段何気なく手にしている商品が、いかに世界経済に、とりわけ原油価格の動向に繋がっているかを改めて実感することになった。

 しかし、それ以上に驚くのは、たいていの商品の値上げに、「二十年ぶり」や「三十年ぶり」といった言葉が並ぶことである。四半世紀前後、価格を変えていなかったというのだ。それができたのは「企業努力」のおかげだったという。

 この「企業努力」という言葉には、様々な努力が含まれよう。原材料の調達、製造工程のカイゼン、運送の効率化など、ありとあらゆる手段がとられている。その中には、当然「人件費の削減」も含まれ、それが大きなウェイトを占めているだろう。

 原油以上に、どんな商品にもついてまわるのが、人件費である。原価にこれが含まれない商品など、この世に存在しない。だから、ここを圧縮することで、価格を維持しようとする。その結果、四半世紀にわたりピクリとも動かない小売価格が実現したとともに、賃金を含めた労働環境の悪化を招いたのは間違いないだろう。それは国内だけではない。私たちが目にすることのない、遠い国での搾取をも生んでいるのだということは、自覚しなければならない。

 価格とは、その商品に費やされた人手に対する対価である。暴利を貪ることは許されないが、相応の利益を上げることは当然であるし、それが社会を活性化させる。なにより、その商品を手元まで届けてくれた人々に対する感謝の表れであることを、忘れてはならないのではないだろうか。

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犯罪者の更生

 昨日、大阪の南船場で強盗事件が発生した。郵便局に押し入った男が、取り押さえようとした市民三人にケガを負わせ、さらに地下鉄に逃げ込んで人質騒ぎまで起こした。結局は人質が自力で逃げ出し、犯人は無事逮捕されたものの、ケガをした男性一名は胸を刺され重傷だという。ケガをされた方々の勇気に敬服するとともに、一日も早い回復をお祈りしたい。

 さて、この犯人の男であるが、今年十月に刑務所から出所したばかりだったという。調べに対し、「刑務所を出たばかりで、年を越す金がなかった」と供述しているとのことだが、出所後はホームレス生活を送っていたらしい。

 日本における犯罪者の再犯率は三〇%程度だが、起こった犯罪の六〇%弱は再犯者によるものであり、また再犯者の四〇%が出所後一年未満で再度なんらかの罪を犯している(『犯罪白書』より)。この数字を見る限り、現行制度での犯罪者更生に問題があることは明白だ。

 実際、刑務所が定員以上の受刑者を抱え、パンク寸前であることは前々から指摘されているし、更生プログラムが無きに等しい現状で、受刑者が社会復帰することの難しさも問題になっている。それが、上記のような結果を生み、ひいては社会全体の安全保障を大きく損ねている。

 今回の犯人は、その振る舞いの奇矯さやお粗末な行動結果を見る限り、なんらかのサポートを必要とする種類の人間であった可能性が高い。つまり、彼に適切な自立支援がなされていたならば、防ぎ得た事件であったのかもしれないのだ。時折、「なぜ犯罪者を税金で面倒見なければならないのか」といった感情論を見かけることがあるが、人の業として犯罪の根絶は絶望的である以上、彼らを更生させ、自立させるのが、実は経済効率的に見ても最善の道なのである。そして、前述の数字を見る限り、再犯率の低下はそのまま犯罪率の低下に繋がり、そうなると安全保障と歳出削減も担保される。

 刑を終えた人々への自立支援は、私たちにとっても、決して無関係ではない問題なのだ。

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どうでもいいですよ

 贈収賄報道を見るたび、これは政財界のみならずマスコミも片棒を担いだ茶番劇なんだろうと、馬鹿馬鹿しくなる。国会での儀式めいた答弁は言うに及ばず、テレビのキャスターやコメンテーターたちも定型文を決まった表情でのたまうに過ぎない。そして、本質を追うつもりなど欠片もなさげな報道を垂れ流すことで、事実の隠蔽に協力してさえいるような様相である。

 防衛省(当時は防衛庁だが)のトップ官僚と防衛専門商社の経営者に不適切な関係があり、それが故に莫大な税金が無駄遣いされていたとなると由々しき問題である。徹底的に解明し、再発を防止しなければならない。だが、それが本当にできるのであれば、とっくにそうされているはずである。今まで、同様の事件は、枚挙するのが面倒なほど起こっている。その都度、国会が空転し、なんら抜本的な解決を見ないままに、また税金が無駄遣いされる。

 行政も政治も、本気で取り組むつもりがないことぐらい、よくわかっている。そこは、もういい。だが、せめて政治パフォーマンスに関わる税金ぐらいは削減してもらえないだろうか。疑獄があるというなら、その解明は特捜に任せ、国会はさっさと立法府としての役割に戻ってもらいたい。それでなくても捻れ国会のせいで、余計なコストが掛かる状態になっているのだ。捻れ国会を選んだのは国民であるから、これにかかるコストには文句は言わない。だが、茶番に費やすコスト、そして一部個人の飲食娯楽コストを税金でまかなうのだけは、しみじみやめてほしい。半ばなげやりに、そう思う。

 そして、マスコミも、同じ内容をキャプションや編集を変えただけで垂れ流すような手抜きをしないでいただきたい。正直、元長官が宴席にいったかどうかなんぞ、どうでもよい。そんなことより、現国会ではどのような法案が提出され、どの政党がどう賛否を唱え、何が棚晒しになって、何が骨抜きになって、何が通って、何が廃されたのか。そして、国会議員さんたちのショービズのためにどれぐらいの無駄金が使われたのか、そんなところを報道してほしい。

 まあ、期待するだけ無駄だろうが。

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